妖(あやかし)狩り・弐~右丸VSそはや丸~
 ふと、少し前の呉羽の言葉が蘇る。

『お前がずっと刀でいたら、私は寂しかったかも』

 呉羽がこれを口にしたのは、つい最近だ。
 呉羽が自覚するよりもずっと前から、そはや丸は呉羽のために、人型であり続けたのか。

「そはや丸? どうした?」

 背後から呉羽の声がする。
 考えに沈んで、少し忘れていた疼きが、声を聞くことによって再び再燃する。

 そはや丸は、呉羽に背を向けたまま、目を閉じた。

「・・・・・・寝たのかな? 珍しいな、人型で寝るなんて」

 言いながら、呉羽はそはや丸に、そっと衾をかける。
 そはや丸は、少し胸が温かくなり、またそれに疑問が湧いた。

「ねぇお姉さん」

 その様子をじっと見ていた烏丸が、呉羽を見上げる。

「お姉さんはさ、そはや丸のことが好きなの?」

 子供だけに、直球だ。
 だが、こういうことに関しては、呉羽も同じぐらいの精神年齢だろう。
 特に深く考えることもなく頷く。

「そうだな。嫌いな奴とは、こんなずっと一緒には、いられないだろ?」

「ん~、じゃあ、右丸のことは?」

「右丸?」

 呉羽は怪訝な顔をする。
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