妖(あやかし)狩り・弐~右丸VSそはや丸~
 近所のおばちゃんのようなことを言う。
 呉羽は相変わらず、怪訝な表情で小さな烏をぽかんと見つめた。

「それに、お姉さんはおいらたちよりも、早くに死んじゃうじゃない」

 しゅん、と悲しそうに、烏丸が言う。

「そんなゆっくりしてたら、あっという間に人生終わっちゃうよ?」

「ん~? 随分抹香臭いことを言うなぁ。そうかぁ、烏丸は子供だけど、成長に時間がかかるだけで、産まれてからは結構経ってるんだな」

 呉羽は笑って、ぐりぐりと烏丸の頭を撫でる。

「だからさ、お姉さんはもっと、普通の娘みたいに楽しむべきなのよ」

「そうか? じゃあ普通の娘というのは、どういう風に人生を楽しんでいるんだ?」

 こういう話を他の者にされることは、あまり好まない呉羽だが、烏丸は可愛がっているだけに、素直に言うことを聞いている。

「お姉さんは、恋をすべきなのよ」

 床に降り立ち、烏丸は、びしっと羽を呉羽に突きつける。

「お姉さん、綺麗なんだから、お姉さんに恋する男は多いはずよ。お姉さんだって、そのつもりで見れば、心惹かれる男ぐらい、きっと一人や二人いるはずだと思うのよっ」

「色恋かぁ・・・・・・」

 こういう話になると、途端に頭から否定するのに、烏丸が相手だと、それなりに考えているようだ。
 そはや丸は、密かに緊張した。
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