電網自衛隊
 隊員の宿泊所は同じ建物の別の階にあった。大食堂で夕食をすませ、自分の割り当ての2段ベッドの場所を確認すると、昇二は休憩ロビーの椅子に座って紙コップのコーヒーを飲みながら、携帯電話で瞳に電話をかけた。だが、発信音が続くだけでいつまで経っても出ない。
 やがて電話会社の録音されたメッセージが流れて来た。だがそれは、電源が入っていないか電波が届かない場所に……という例の物ではなかった。録音の女性の声はこう告げていた。
「現在都内の広い範囲で通信障害が起きており、通話がつながりにくくなっております。お客様には大変ご迷惑をおかけしまして申し訳ございません」
 あきらめて電話を切った昇二は、瞳の携帯電話が先月発売されたばかりの新型OSのスマートフォーンだった事を思い出した。
「だから、もう少し様子見てから買い替えた方がいいって言ったんだ」
 昇二はベッドに入り、初日の疲れが出たのか、あっと言う間に深い眠りについた。
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