無敵草食獣王子の憂鬱。真実の愛を繋ぐ強く堅い絆は風になって走ること。運命をかけたゴールはすぐそこだ!
……ん、だぁ?
てめぇは、よ!?
足が完治して。
調教師が、俺の騎手だ、と連れて来やがったのは、いつものアイツ、じゃなかった。
見るからに体重が軽そうな所は、良かったが、性格は、なあ。
……また、エラく神経質そうな騎手だな……
なんて、胡散臭そうに、睨んでいたら。
そいつは鞭をぴしぴし、と鳴らしながら俺の近くに寄って来た。
……こんな風に、鞭を弄ぶヤツにロクなもんは、いねぇ。
なんでも、かんでも、すぐ、鞭を使いたがるヤツが多いんだ。
冗談じゃねぇ!
こんなヤツを乗っけるなら、多少重くたって、今までの騎手の方が百倍マシだ!
俺は、イヤだからな!!!