無敵草食獣王子の憂鬱。真実の愛を繋ぐ強く堅い絆は風になって走ること。運命をかけたゴールはすぐそこだ!
調教したての、仔馬じゃ、あるまいし!
そんなコトは、たづなを使え!
びしり、鞭。
俺は、力のセーブなんざしねぇ!
最初から、めいっぱい走りたいんだ!!
その答えには、口が切れるか、と思うほどの、たづなさばき。
少々太めの前の騎手は、俺に、ペガサスの翼をくれた。
しかし。
今度の野郎は、俺を鎖でつなごうとしやがったんだ。
俺に自由と翼をくれた、ちょっと太めの前の騎手が恋しくて、何度も何度も叫んだのに。
俺の声を聞いてくれるヤツなんざ、誰も無く。
挙句の果てに『うるさい』とまた鞭を使われた。
……これで、動けるワケがねぇじゃねぇか!!
くそったれ!!!