無敵草食獣王子の憂鬱。真実の愛を繋ぐ強く堅い絆は風になって走ること。運命をかけたゴールはすぐそこだ!
 
 二人目の男は再起不能にしてやったから、騎手が変わることは、知っていた。


 この俺サマ『ストラップスター』の相手は『烈火のリョウ』しか出来ないって言う噂でも流れて。


 前の騎手が戻って来ないか?


 ……と祈るような気持ちでいたのに。


 一瞬だけは、俺の願いが叶って『アイツ』が戻って来たのかと思った。


 ぽよん、とした妙に安心感のある、シルエットが、そっくりだったんだ。


 けれども。


「わぁ、額に星があるのね。
 ユニコーンみたいにキレイな、馬……」


 なんて今更、アイツなら、絶対言わない間抜けな声に。


 よくよく相手を眺めて、鼻を鳴らした。


 ……女かよ!


 莫迦にしゃがって!!


 もしかしたら、アイツが戻ってきたかもしれない、と思っていた分だけがっかりした。

 

< 27 / 67 >

この作品をシェア

pagetop