無敵草食獣王子の憂鬱。真実の愛を繋ぐ強く堅い絆は風になって走ること。運命をかけたゴールはすぐそこだ!
二人目の男は再起不能にしてやったから、騎手が変わることは、知っていた。
この俺サマ『ストラップスター』の相手は『烈火のリョウ』しか出来ないって言う噂でも流れて。
前の騎手が戻って来ないか?
……と祈るような気持ちでいたのに。
一瞬だけは、俺の願いが叶って『アイツ』が戻って来たのかと思った。
ぽよん、とした妙に安心感のある、シルエットが、そっくりだったんだ。
けれども。
「わぁ、額に星があるのね。
ユニコーンみたいにキレイな、馬……」
なんて今更、アイツなら、絶対言わない間抜けな声に。
よくよく相手を眺めて、鼻を鳴らした。
……女かよ!
莫迦にしゃがって!!
もしかしたら、アイツが戻ってきたかもしれない、と思っていた分だけがっかりした。