無敵草食獣王子の憂鬱。真実の愛を繋ぐ強く堅い絆は風になって走ること。運命をかけたゴールはすぐそこだ!
 
 その玉は、先祖伝来で、動物と話が出来るすげー価値のある玉らしい。


 でも、俺、そんなこたぁ、どーでもいいや。


 延々と話し続ける彼女の声を無視して、ずーーっと知りたかったことを聞いた。


『おい! お前!

 俺の前の騎手で『烈火のリョウ』っていうデブ、知らねぇか?』


「なによ!

 藪から棒に、失礼ね!

 私は、馬に『お前』なんて、言われる筋合いは、ないわよ!

 丸石 小春(まるいし こはる)っていう名前があるし!

 その『烈火のリョウ』って言うのは丸石 遼(まるいし りょう)!

 私のお兄ちゃんよ!

 そりゃあ、確かに。

 騎手としては、ちょっと太めだけど、あんたに『デブ』なんて言われる覚えもないわ!」


 なんだって!


 こいつが、リョウの妹!!


 俺は、まだぶつぶつ文句を言ってる、小春の言葉をさえぎって、いなないた。


『それで!

 お前の兄貴は、今。どこに!』
 
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