無敵草食獣王子の憂鬱。真実の愛を繋ぐ強く堅い絆は風になって走ること。運命をかけたゴールはすぐそこだ!
……どうやら、もうひと押し、だな。
『お前さ~、いつも食ってばっかだろ?
背中に乗せる俺の気持ち、分かってる?』
偉そうなこと言って、兄妹揃って俺の脚を折るつもりか?
……って、言ってやったら、小春は首をすくめた。
「分かってますよ、分かってますとも!!」
『お前、遼の妹なんだろ?
なんでこうも違うかな~?』
「そ、それって…どういう意味よ?」
『遼には走りのセンスがあったよな~。
それに、俺に全てを委ねてたぞ?
俺ってば、そんなに信用ねーのかよ、このカタツムリ!』
そんなんじゃ、兄貴に追いつく前に、終わりだな、と笑えば。
小春は、怒って、紅くなる。
「カッ、カタツムリ!?
どーゆー意味よ、ソレ」
『言葉のまんまだろ? おせーんだよ!』
「遅いのはアンタの所為でしょ? 私が走ってるんじゃないんだし」
『んだよ、テメェ。 俺がカタツムリだってのか!?』
……なんだか、言い合いをしているうちに、楽しくなって来やがった。
だって、こいつ。
からかうと、すぐ、食いついて来るんだ。
面白れぇ♪