無敵草食獣王子の憂鬱。真実の愛を繋ぐ強く堅い絆は風になって走ること。運命をかけたゴールはすぐそこだ!
 
 本当は。


 ……本当は。


 デブだろうが、多少カッコ悪かろうが。


 俺のコトをちゃんと理解して、翼をくれたリョウのコトを愛してる。


 愛してる。


 愛してるんだ!!!


 けれども。


 身を焦がすほどに募る、初めて気がついた自分の心は押し隠すしかなくて。


 必死についたウソに、どうやら小春は騙されてくれたようだった。


 俺の剣幕にびびったらしい。


 小春は、思わず出て来たらしい涙をぐしっと拭いた。


「判ったわよ!

 でも、私なら、絶対!

 何があってもあんたを見捨て無いから!」


 私は、お兄ちゃんと違うから!


 ……と。


 元気に、腕をまくり出した小春に、俺は、心の中で、頭を下げた。




< 48 / 67 >

この作品をシェア

pagetop