無敵草食獣王子の憂鬱。真実の愛を繋ぐ強く堅い絆は風になって走ること。運命をかけたゴールはすぐそこだ!
 どん、と俺の背中にかかる体重に不覚にも、へたり込みそうになる。


 冗談じゃねぇ!


 この俺サマが、生まれたての子馬みたいに、尻餅をつくなんてことは、あり得ねぇ!


 絶対、無様な姿を人間どもに、見せまいと。


 気力を振り絞って、しゃん、と立ったら、俺の背中に乗った野郎がほざきやがった。


「おお、やっと静かになったな~~」


 ちげーよ!


 てめぇが重くて、暴れられなくなったんだ!


 そう、俺は怒鳴ったのに、人間ってヤツは、馬の話しに耳をかしやがらねぇ!


 仕方がねぇから、不機嫌そうにいなないてみた。


 早く降りろ、と判り易く、気持ちを伝えたのに!


 野郎は「じゃ。ちょっと走ってみようか?」と言いだした。


 ふざけんな!!

 
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