無敵草食獣王子の憂鬱。真実の愛を繋ぐ強く堅い絆は風になって走ること。運命をかけたゴールはすぐそこだ!
自分の心がようやく定まり。
落ち着かなかった、ききみみまがたまが、どこかに行って、ようやく。
俺的には、小春となんとか上手くやって行ける気分になった。
客観的に見ても、言葉に頼らなくなった分。
意志の疎通は、普通の馬との付き合いのように。
お互いをきちんと見れば。
たづなや、拍車なんかの、当たり前の小道具で十分なんだと、小春の気持ちも変わって来たようだった。
ま、本当は最初から。
人間の方が、こっちの話を聞かねえだけで。
俺らの方は、ききみみまがたまなんぞ無くても、人間の言ってることは、判るんだけどな。
なんて、そんな日々が続いたある日のことだった。
小春が、俺の居る厩舎の扉を、壊しかねない勢いで、飛び込んで来たのは。