無敵草食獣王子の憂鬱。真実の愛を繋ぐ強く堅い絆は風になって走ること。運命をかけたゴールはすぐそこだ!
「ちょっと! 大変よ!

 今度のレース!

 勝たないと、アンタ、コンビーフになるんだって!?」


 ……なんだ、そんなことか。


 焦っているらしい小春の言葉に、俺は、鼻を鳴らした。


「何、余裕こいてるのよ!

 もしかしたら、死んじゃうかもしれない一大事だって言うのに!

 ……って!

 あ、そうか!

 ききみみまがたま無いと、私の言ってること判らない……!?」


 そんなことねぇよ。


 まがたまなんぞ無くても、お前の言葉なら、最初から判ってるし。


 コンビーフの件だって、知ってたぜ?


 なんて。


 俺の言葉は、全く判らない、小春はますます焦って言った。


「もう!

 こんな大切なこと伝えるために、まがたまが必要なのに!

 お兄ちゃんの莫迦!

 いくらストラップスターを助けるためだからって、まがたまを勝手に、質に入れちゃうなんて!」


 ……え?


 リョウが、俺のタメに何だって!?


 小春の声に、俺は、真面目に耳を傾ける気になった。
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