無敵草食獣王子の憂鬱。真実の愛を繋ぐ強く堅い絆は風になって走ること。運命をかけたゴールはすぐそこだ!
 
 ここへ来て、負けるのか!?


 悔しい!


 悔しい!!


 悔しいぜ!!!


 ここで、負けたら、男が廃るってもんなのに!


 どうあがいても、これ以上、力が出ねぇ!


 小春の気持ちに応えられねぇ!


 くっそ……!


 そんな思い通りにならない走りに、毒づいたときだった。


 思わず泳いだ視線の先に、信じられないものを見た。



 リョウだ!!



 この、何百、何千人居るか判らねぇ人間達の中に、一瞬。


 リョウの姿を見た。


 最後にあった時よりも、さらに、太っていたけれど、間違いねぇ!


 そいつは、俺を見つめて、何か叫んでた。


 実際には、他の騒音に紛れて聞こえないはずの声だった。


 ひどくゆっくりに思えたけれど、実際にリョウを捉えたのは、一瞬だった。


 だけど、確かに聞こえた声が、俺に魔法をかけた。




「翔べ!! ストラップスター!!!」


 

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