姫は救うと微笑み、神は殺すと無邪気に言った
「あれはなかなかだ。自殺というのは案外、呆気ないものなんだよ。死にたいと思った時点で、人は死ぬときの痛みを連想する。死ぬぐらいだ、“死ぬほど痛い”と思っても、刺した痛みは刺した痛みでしかない。
“想像の範疇”であり、長続きなんかしない。生きて痛みを感じることなんかないのだから」
容姿に似合わず大人びいた口調で話す茶神。子供が背伸びをして大人らしくとは違い、紛れもなく茶神は精神年齢が大人に見えた。
紳士的な振る舞い、優雅に余裕ありの少年が紅茶を口に含む。
満月の下でのティータイムだと洒落込むのもまた子供らしからない。自分の見せ方と言うのを熟知しているのか、満月の光で照らされた銀髪は清く、満月と同じ色をした眼が潤しく思える。