無口な彼が残業する理由 新装版
「違うならいい」
私は再び布団に潜り込んで顔を隠した。
恥ずかしいったらありゃしない。
なんだ、違うんだ……。
とんでもない勘違いをしていたけれど、安心した。
それなら私にも可能性があるのだと小さな光が見えた。
だけど、青木が関係ないのだとしたら、
私はただ私というだけで冷たくされていたことになる。
やっぱり私は疎ましい?
それなのに、熱を出した途端優しくなる丸山くん。
これは、期待していいのだろうか。
「眠れ」
昼間はあんなに冷たかったのに、
今はとても穏やかな声で私をときめかす。
「丸山くんって、よくわからない」
「そう?」
「そうだよ」
「どこが?」
「やることなすこと、全て」
「そっか」
「ねぇ、どうして私なんかに世話を焼いてくれるの?」