無口な彼が残業する理由 新装版
丸山くんは無口であるのに加えて、
口を開いても大事なことはなかなか発してくれない。
短いセリフと少し強引な仕草から
丸山くんの気持ちを探らなければならない。
それはまるで、英語を読解するような感覚だ。
全くわからないわけではない。
でも、全てわかるわけでもない。
そんなもどかしい感覚。
果たして丸山くん本人は
それを意図してやっているのか
それとも自然にそうしてしまっているのか――……
翻弄されている私には、
それが前者である気がしてならなかった。