無口な彼が残業する理由 新装版
強烈なデコピンが放たれた。
「いったいなー!」
本当に、それが好きな女に対する態度か。
なんて思いつつ、
こうして普通の同僚として接してくれることに一安心。
「でもさー、結局どうなってんの、お前たち」
青木はつまみの枝豆を口にしながらぽつりと吐き出した。
「お前たち?」
「丸山だよ、丸山」
ああ、思い出しちゃった。
「私が知りたいよ」
「お前だって、好きなんだろ?」
バレてるのはわかっていたけれど。
今となっては認めるのも何となく虚しい。
「……うん」
「だったらどうしてくっつかないわけ? 俺にチャンスをくれてんの?」
「それはない」