無口な彼が残業する理由 新装版

キッパリ返すと青木がガクッとうなだれた。

丸山くんが私のことを好きで、

私も丸山君のことを好きで。

それでもくっつかずにグズグズしているんだから、

青木にとっては余計に面白くないだろう。

「あいつと一晩過ごしたんだろ?」

「うん」

「何もなかったのかよ」

答えに困る。

だって青木が示唆しているようなことはなかったし、

何もなかったとも言い切れない。

「微妙」

一言そう答えると、

「何それ。タたなかったの? あいつ」

極めて下品な反応をしたからデコピンのお返しをしておいた。

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