無口な彼が残業する理由 新装版

青木は困惑する私を楽しむかのように、

「だから、好きなんだって」

しつこいくらいに告白を続けた。

そして最後に

「こんな簡単なことがどうして言えないかね」

と呆れ声で言った。

青木はどうやらお手本を見せてくれていたらしい。

「言ってみ? 好きだって」

「好き」

「ほら、言えるじゃん」

「言おうと思えば言えるに決まってるでしょ」

「じゃあ言ってみれば? 何か変わるかもしれないぞ」

そうかな?

変わるかな?

「じゃあ、言ってみる」

< 175 / 382 >

この作品をシェア

pagetop