無口な彼が残業する理由 新装版




ドクン、ドクン、ドクン……。

まだ始まってもいないのに、

私の心臓は高鳴っていた。

重役たちが参加するということで、

会議に参加する者はみんなバッチリスーツを着込んでいる。

朝からガチガチに固まる私の背中を

バチン!

と派手に叩いたのは、

今日もパワフルな菊池さんだった。

「もう! 脅かさないでくださいよ」

「あははは! ごめんごめん、痛かった?」

菊池さんのピアスも今日は控えめだ。

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