無口な彼が残業する理由 新装版
男前に段ボール箱を右肩に担ぎ、
階段を一歩一歩上っていく。
ヒールのパンプスはバランスが取りにくいのに加えて、
そんな靴のまま荷物を前で抱えると後ろに倒れてしまいそうだし、後ろに背負うと格好悪い。
色々試してみて、右肩に乗せて両腕で支えるのが最も安定したのだ。
全ては私の夢のため。
箱詰めの資料なんかに負けてたまるか。
そう思っていたら、
怪奇現象が起きた。
しっかり担いでいたはずの段ボールが
ふわりと浮いたのだ。