無口な彼が残業する理由 新装版

誰もいなくなった会議室に二人の息づかいだけが卑猥に響く。

「神坂さん」

丸山くんの声が私の随脳を刺激する。

「前にも言ったけど」

「……なに……?」

「あんまり色っぽい声、出さないで」

ただでさえ上気していた顔がさらに熱くなった。

「丸山くんのせいでしょ」

「そうだよ」

楽しむように、からかうように、

体のあちこちにキスを続ける。

「もう、ほんと自分勝手」

「嫌いになった?」

バカ。

そんなの……

「なるわけないじゃん」

わかっているくせに。

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