無口な彼が残業する理由 新装版

視覚が、聴覚が、嗅覚が、味覚が、触覚が、

全て丸山くんで埋め尽くされる。

切なく歪む顔。

荒い息づかいに時おり漏れる声。

涼しげな香りに混ざる性の匂い。

甘いキスの味。

抱き締める生肌の感触。

心も体も全部丸山くんに奪われていく。

すごく恥ずかしくて、でも嬉しくて。

ドキドキが止まらない。

かきむしりたくなるほどの胸の疼きが治まらない。

愛しくて、愛しくて、愛しくて、

もて余す気持ちが歯がゆくて。

人に愛されることの苦しさと心地よさを噛み締めた。



< 228 / 382 >

この作品をシェア

pagetop