無口な彼が残業する理由 新装版
一人で新幹線に乗って、
一人で相手の企業に乗り込み、
一人で営業トークを繰り広げて
一人で契約を取ってこいと?
そりゃあ、私だって何年も仕事をしているんだし、
自分が立ち上げるサイトの営業くらい出来ると思う。
けれど一人じゃさすがに心細い。
そんな気持ちを込めて課長を見つめる。
「いや、同行者を一人付けることにした」
「それって……」
もしかして、丸山くん?
「青木だ」
「ええっ!?」
どうして?
青木は新サイトのチームではないのに。