無口な彼が残業する理由 新装版
「そんな心配いらないから!」
力強く念を押しておくと、
「お前も少しは俺を意識しろよ」
と青木から突っ込みが。
「するわけないでしょ、いつも隣に座ってんだから」
「それでも少しはしろよ。襲うぞ」
それに挑発されたのか、丸山くんの顔付きが微妙に変わった。
ぐいっと腕を引かれ頭に手を添えられたと思ったら、
そのまま少し乱暴な仕草でぶちゅっとキスをされた。
「こっ……こんなとこで!」
ここは東京駅のど真ん中。
人もたくさんいるし、青木も呆れたように睨んでいるし。
「青木に、気を付けて」
丸山くんは私に再度そう言って、
青木を涼しい目で睨み付ける。
ああ、もう……。