無口な彼が残業する理由 新装版

何秒待っても、丸山くんの声は聞こえてこなかった。

無口で無表情で無愛想。

こんな時くらい、何か言って欲しかったけれど。

無言を貫く丸山くんは

「そうしたいなら、そうすればいい」

そう言っているのかもしれない。



「行こう、青木」

私の合図で、青木は私と同じ方向を向いた。

私は振り向くことなく足を進める。

後ろの二人がその後どうしたかなんて、

知りたくもない。





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