無口な彼が残業する理由 新装版
予定より早く民宿にチェックインした。
手入れされている庭園にも、
今は感動することなんて出来そうにない。
青木とは別の部屋だったけれど、
ただ襖で仕切られただけの隣同士。
「神坂ー? 聞こえる?」
襖の向こうからハッキリと青木の声が聞こえた。
「うるさいくらいに聞こえる」
襖は開かないようになっているけれど、
破いてしまったら簡単に出入り可能だろう。
「そっち行っていい?」