無口な彼が残業する理由 新装版

青木は優しくて柔らかいキスを続けながら、

私の気持ちを探るようにゆっくりと深さを足してきた。

このままどこまでも、青木に落ちてしまいたい。

丸山くんのことなんて、忘れてしまえるように。

まだ布団も敷かれていない畳に組み敷かれると、

青木の凛々しい顔が切なく歪んでいた。

青木でもこんな顔するんだ。

色気なんて、今までに感じたことなかったのに。

青木の唇が、首筋を這う。

丸山くんとは違う甘い香りがした。

温かくて包み込んでくれるような、

甘くてドキドキする香りがした。

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