無口な彼が残業する理由 新装版

青木って、イイ男なんだな。

どうしてもっと早く気付いてあげられなかったんだろう。

私がちゃんと気付いてあげられていたら、

もっと平和に恋愛できたはずなのに。

……後悔ばっかりだ。

「……っ!」

突然青木の動きがピタリと止まった。

「どう……したの?」

「チッ」

思いっきり眉間にしわを作って舌打ちをした青木は、

バッと音を立てるように素早く私の服の乱れを直した。

「神坂、風呂行くぞ」

「え……? あ、そうだよね」

「頭冷やそう。お互いに」

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