無口な彼が残業する理由 新装版
起き上がって髪をバサバサ乱している。
する前だから体を洗おうとか、
そういう意味ではないらしい。
私は青木が隠すように直した胸元を自分で確認した。
「あ……」
数日前は紅く色づいていた、
だけど今は茶色くなって散ろうとしている花びらたち。
丸山くんの付けた、キスマーク。
まだ消えてなかったんだ。
青木が思いとどまった原因はこれだったのか。
そりゃあ、嫌だよね。
別の男の跡を眺めながら抱くなんて。