無口な彼が残業する理由 新装版
突然そんな単語を挙げられても、
意味するところが何なのかわからない。
首をかしげて続きの言葉を待つ。
「そう。パソコン使うとき、いつも左肩が上がってる」
ああ、そういうこと。
だからさっき、左が何とかって言ってたのか。
再び丸山くんが左肩と首に触れる。
私は声が出てしまわないように意識した。
「だから、ここ」
丸山くんが刺激する、凝り固まった場所。
「うん。凝っちゃうんだね」
「そう」
言葉は拙いけれど、温かい。
丸山くんは無口で無愛想だけど、
ミルクティーをくれたりマッサージをしてくれたりするし、
私や周りに無関心というわけではないようだ。