無口な彼が残業する理由 新装版
「……ったく、あのヘタレが」
青木が笑った。
「笑うなバカ」
「ひでー顔。泣いてやんの」
「うるさいな」
ほんとに、こいつは。
それが好きな女に対する態度か。
「だってさー、お前、今でもメチャクチャ丸山のこと好きだろ」
「なっ……なによ」
それを今、改めようとしてるんじゃない。
「すげームカつくマジうぜー」
「はぁ?」
力強く悪口を言いながら笑っている。
真剣に話して損した気分だ。