無口な彼が残業する理由 新装版

「……ったく、あのヘタレが」

青木が笑った。

「笑うなバカ」

「ひでー顔。泣いてやんの」

「うるさいな」

ほんとに、こいつは。

それが好きな女に対する態度か。

「だってさー、お前、今でもメチャクチャ丸山のこと好きだろ」

「なっ……なによ」

それを今、改めようとしてるんじゃない。

「すげームカつくマジうぜー」

「はぁ?」

力強く悪口を言いながら笑っている。

真剣に話して損した気分だ。

< 331 / 382 >

この作品をシェア

pagetop