無口な彼が残業する理由 新装版
無口で無表情で無愛想。
そんな丸山くんが、こんなにも饒舌に何かを訴えかけているのを今までに見たことがあっただろうか。
私は貴重な彼の言葉を一つたりとも聞き逃すまいと、
黙って胸の中でじっとしていた。
……でも。
「だったらどうして、愛華ちゃんと一緒なのよ」
確かに私だって青木と一緒にいるけれど、
ちゃんと丸山くんに了承を得てのこと。
「それは……」
言いにくそうに言葉を濁す。
「俺が不甲斐ないから」
「どういう意味?」