無口な彼が残業する理由 新装版

丸山くんからはなかなか言葉が出てこない。

「あの子、ああ見えて結構怖くって」

早く説明が欲しい。

話すのが苦手だとわかっていても急かしたくなる。

「何それ。意味わかんないよ」

我慢できずに冷たく言い放った。

すると。

「あーっ、もう!」

静かだった庭園に、甲高い声が響く。

「だからダメなんですよ、大地先輩!」

丸山くんがビクッとした。

肩越しに声の方を見ると、

そこには仁王立ちの愛華ちゃんがいた。

< 341 / 382 >

この作品をシェア

pagetop