無口な彼が残業する理由 新装版
丸山くんからはなかなか言葉が出てこない。
「あの子、ああ見えて結構怖くって」
早く説明が欲しい。
話すのが苦手だとわかっていても急かしたくなる。
「何それ。意味わかんないよ」
我慢できずに冷たく言い放った。
すると。
「あーっ、もう!」
静かだった庭園に、甲高い声が響く。
「だからダメなんですよ、大地先輩!」
丸山くんがビクッとした。
肩越しに声の方を見ると、
そこには仁王立ちの愛華ちゃんがいた。