無口な彼が残業する理由 新装版
「どうして私たちが京都に来たか、わかってないでしょう?」
わかっているような、ないような。
「浮気旅行?」
首を傾げると、愛華ちゃんはがっくり肩を落とした。
「やっぱり」
何ががっくりで、何がやっぱりなのか、
私の頭の中はハテナだらけだ。
「違うの?」
「違いますよ」
愛華ちゃんは思いっきり呆れた様子で私たちを見つめた。
情けない先輩二人組。
「大地先輩、ずっと理沙先輩のこと心配してて。青木先輩に何かされるんじゃないかって、気が気でなかったみたいで」
丸山くんを見ると、恥ずかしそうに目を逸らされてしまった。