無口な彼が残業する理由 新装版
「相手先の企業から、返事が来た」
……ごくり。
「2社、話を進めたい旨の返事をもらえた」
「2社?」
私と青木は同時に発した。
2社って。
あれだけ回って、2社って……。
自分の力のなさに落胆した。
私の企画は、他社にとってはそんなに面白くない企画だったのだろうか。
それとも私の商談が下手くそだったのだろうか。
「どうする、神坂」
課長の声が、私の心を揺さぶる。
2社を足しても、新サイト立ち上げ条件には満たない。
このままでは、立ち上げられない。