無口な彼が残業する理由 新装版
資料を漁り、データを漁り、ネットを漁り。
企画段階で見込める企業は大体挙げてしまった。
それら全てに課長がアクセスしてくれて、
相手にしてもらえた企業が5割弱。
ターゲットが若年層というのは、やっぱりハードルが高いのだ。
「はぁ……ダメだ。断られたとこばっかりだ」
自力で見つけ出せたのは、たったの3社だけだった。
その時点で、すでに夜9時を越えてしまっていた。
見渡してみると、事務所はほぼ私だけ。
私の他に、もう一人、
丸山くんがいるだけだった。