無口な彼が残業する理由 新装版
誰かに見られるとすごく恥ずかしいけれど、
慌ただしい日常で感じられる貴重な幸せ。
「お二人はもっとイチャイチャすべきです」
という愛華ちゃんのアドバイスを参考にして、
オフィスに誰もいない時は、こうして触れ合うことに決めたのだ。
そのチャンスは夜中にしかないけれど、
仕事終わりに頑張ったご褒美がもらえるようで
残業だって苦にならない。
だけど、
だからって新サイトに関する不安が消えるわけではない。
「どうしよう」
ぽつり呟くと、丸山くんの落ち着いた声が聞こえた。
「大丈夫」