無口な彼が残業する理由 新装版
大丈夫だなんて、きっと丸山くんなりの気休めだ。
企画人である私にはそう思えない。
スポンサー無しでは何も話が進まないのだから。
私たちの本当の仕事は、サイトの開発や運営なんかじゃない。
スポンサーに利益をもたらすことなのだ。
サイトの開発や運営はスポンサーにお客さんを流すためのツールでしかない。
より多くの消費者に私たちが作ったサイトを利用してもらいつつ広告を見てもらって
興味を持ってもらうことなのだ。
「サイトの主体性が強いし、若年層向けだからスポンサーが付きにくいんだって、わかってるんだけどね」
それでも、もっと多くの企業が賛同してくれると思っていた。
甘かったな。
「だから、大丈夫だってば」
丸山くんは私を閉じ込めたまま、
私を安心させてくれようとする。