無口な彼が残業する理由 新装版
なかなか泣き止むことができず、
メイクもすっかり崩れてしまった。
そんな私の不細工な顔を、青木の椅子に腰を落ち着けた丸山くんが優しく拭ってくれる。
重くなったまぶたを押し上げて彼を見ると、丸山くんも真っ直ぐに私を見つめている。
仕事がうまくいかなくて苦しいのに、
こんな時でも胸は熱くなる。
目の前に、好きな人。
綺麗な顔をしている好きな人。
それなのにこんな顔を見られているなんて。
そう思ったら、また涙が出てきた。
もはやどうして泣いているのかわからない。
丸山くんは少し困ったように顔を歪めて、
頬にあった手を後頭部へ回した。
そして。