無口な彼が残業する理由 新装版
「神坂ー。ノッてくれそうなメーカーリスト、これでいい?」
「見せて。……あー、もうちょっと増やせない?」
「これ以上? つーかさぁ、普通にブランドショップも入れて良いんじゃね?」
「それはまた別項に入れるの。各ブランドは毎月じゃないから」
青木は面倒臭そうにしながらもちゃんと手伝ってくれる。
丸山くんの言う通りだった。
頼れば随分楽になった。
作業が二倍の速さで進んで行く。
私が一人でやっていた頃よりも具体的で説得力のある企画書が出来そうだ。
「お前さー、こんな大きな企画たててるんだったらもっと早く言えよな」
青木にもそう言われて、私は今まで自分の力を高く見積もりすぎていたのだと
深く反省した。