無口な彼が残業する理由 新装版

私はいつものように何気なく出社した。

すると、

「おはよ、神坂」

いつもはダルそうにあくびをしている青木がシャキッとしていた。

「おはよう。今日はなんだか元気だね」

「そう? 神坂、今日も可愛いな」

……は? 可愛い?

青木が私を褒めた。

「何よ、急に。気持ち悪い」

「気持ち悪いとか言うなよ。俺は毎日そう思ってるぞ?」

……違う。

こいつは青木じゃない。

青木はこんな歯の浮くような言葉を吐けるような奴じゃないはずだ。

「あんた、頭打った?」

「打ったって言ったら、看病してくれるか?」

……ダメだ。

鳥肌勃発。

やっぱりこいつは別人だ。

「なぁ、今夜仕事終わったらさ……」

誰か助けて!

青木を元に戻して!


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