【完】君しかいらない
「あの子が小さい頃は、あの子を育てていくのに必死で全然構ってあげられなかった。

だから、他人に依存する傾向が強いのよね……彼氏ができればベッタリになる。

それこそ、自分で貯めたバイト代だってすぐに渡したり……」



「…………」



「あたしも最近やっと再婚して、司に少しでも裕福な暮らしをさせてあげられるようになった。

だけど……毎晩遊び歩いて、あたしのことなんて……」



女はやりきれないような表情を見せたあと、俺からフッと目を逸らし、フゥと小さくため息をつく。



母子家庭だった……ってことか。



ちょっと事情が複雑そうだな……。







「……ちょっとアンタ、なんで黙ってんの?なにか言いなさいよ」



ハハッ、やっぱり?




「あー……司ちゃんに彼氏は?」



「そんなのあたしが知るわけないでしょ!コッチが知りたいくらいよ。

アンタの仲間にいるんじゃないの?」






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