【完】君しかいらない
「陽斗……ウチに来たときは、いつも通りだった。

突然こんな事件に巻き込まれるのは、不自然……だ」


「なにが……いいたいの?」


兄貴の淡々とした声と、焦るような春奈の声が聞こえてくる。


「俺たちが付き合ったことで、ヤケになったんじゃ……」


……は?


兄貴、なに言ってんだよ……。







「そう……なのかな。どうしよう……あたし……ひどいことした。

別れてから、ずっと悩んでたの……。

陽斗は優しいから……あたしに選択肢をくれた……結局、あたしは陽斗に甘えて……」


「やっぱり……俺たちは、一緒にいるべきじゃない……。

前にも言ったことがあるよな……俺は、陽斗の気持ちを一番に優先したいって……」


……え?


「聞いたよ……だけど……あたしは……」


「こんなことになった以上、俺は……やっぱり春奈の気持ちには……応えられない」


な……なんだよ、それ……。







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