【完】君しかいらない
「ただ、それだけ……って。なんでもないことみたいに…言うんだね……」




「別に……どーでもいーだろ。お前の友達ごっこ、マジでウザいから。

お前の彼氏も、そーいうとこが重かったんじゃ……」




冷たく言い放つ安元くんと、目が合った。



あたしを見て、一瞬足を止める。







「そう……かも。だけど、あたし…あたし、安元くんが死んじゃうんじゃないかって……ずっと、怖かった。

生きててくれて、本当によかったって思ってる。心配しちゃいけない?それは重いことなの?」



「…………」



「奏太くん、今回のことで…かなり滅入ってるから。

お願いだから…奏太くんだけには、そういう言い方しないで…」




あたしはいたたまれなくなって、急いでエレベーターの方へ走った。




しばらくして、



バタンと、玄関の扉が閉まる音だけが聞こえてきた。




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