【完】君しかいらない
「陽斗が今朝、退院した」




それだけ伝えると、すぐ側で息をのむ声が聞こえた。




やっぱり……コイツ、なにか知ってるよな?




「陽斗は……かなり危険な状態で…やっと一命をとりとめて…」




「や……めて」




頭上から、苦しそうな声が聞こえてくる。









ここでやめてたまるかよ。




「あんたと付き合えて、すごく嬉しそうだった。ずっと……ずっと、傷付いてきた陽斗が、やっと…やっと、人を信じようって思えたのに……」




「……なにそれ」




「信頼してる人にずっと裏切られ続けて、それでも信じて……無愛想だけど、そーいうヤツなんだよ。

そんな陽斗を、お前はどん底まで突き落とす気かよ」




「そんなの……知らない。あいつが勝手に信じただけでしょ?」




やっぱり……コイツ、陽斗を騙すつもりで近づいたんだよな……。




絶対、許さねー……。




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