【完】君しかいらない
「バカみたい……だから、あたしに仕返ししてこいって?」




「違う。陽斗は……絶対に、あんたの名前は出さなかった。それに、アイツらのことさえ……なにも話そうとしてないよ」




そこで助手席から大きな声が聞こえてきた。




「司、どうした?」










しまった……気付かれた。




俺は口を閉じ、ジッと構える。




「電話してるから」




蔦田司はシレッとそう言うと、俺の唇にそっと指をあてがった。




黙ってろってこと……?




コイツの考えてることが全然わからないけど……とりあえず大人しくしていよう。








「なにも……喋ってないんだ?」




「まーね。どれだけ聞いても、ダメ。だから俺が勝手に動いた」




「それで…このザマ?」




呆れるようなため息が聞こえたあと、ライターの音が聞こえた。




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