【完】君しかいらない
「それなら聞くけど、陽斗のこと…実は気になったりしてねーの?」




「いいヤツだとは思ったよ」





「不器用だけど、真っ直ぐで…少なくとも、あんたには優しかったはず」





「ん……残念だけど、あたしのタイプじゃないんだよね。そういう感情は全くなかったよ」




少し迷うかと思ったけど即答で。




それは、きっと蔦田司の本心なんだと思う。




少しでもいい方向に向かえばって思ったけど、




どうやらそうもいかないみたいで。










「だけど……ちょっと怖くなった」




「え……」




「最初はアイツ……さっき車にいたあたしの彼氏に言われた通り、安元くんに近づいた。だけど…最初は、そういう目的だって聞いてなかったから」




「っていうと?」




「おもしろい遊び…ぐらいにしか、思ってなかった。

だけどあんなに頑なにあたしを避けてたくせに、ウソみたいに優しくなって…」



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