【完】君しかいらない
この状態で愛想笑いできるような度胸なんて、あたしにはない。


昨日、家の前で安元くんに会ったときだって、めちゃくちゃ頑張って笑いかけたのに…。


安元くんはあたしを、誰とでも打ち解けられる子って思ってるんじゃない?


本当のあたしは、違うんだから…。


慣れたら喋れるから、どうせなら先生が来るまで、側にいて欲しかったな…。


そう思ってたら、自分の席に行ったと思った安元くんが、またあたしの方に向かって歩いてきた。







「おい、小中。ずっと座ってんのも、やっぱ
暇だよな。前の学校での授業の進み具合みたいから、これ解いといて」


…はい?






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