【完】君しかいらない
俺だって、陽斗の変化に驚いた。



恋愛になんて興味のないはずの陽斗。



春奈以外にそのベクトルが向くはずもなかったのに、



アッサリ好きになった。



俺は…春奈を好きだと思う執着心を、やっと解放できたんだと思った。



「あたしの中にも、少し情が出てきて…。金ヅルになるから、気を引いとけぐらいに言われてたの。

だけど…ホントは仕返しをするためだって聞いて」



「仕返しか…上山がある女を襲うのを失敗して、その腹いせってことだよな?」



「表向きはね…」



「表向き?」



「そう…あたしの彼氏の妹を…安元くんが、ひどい振り方をしたんだって。だから、仕返しするって…」



「じゃあ、原因はそれってこと!?」



陽斗、結構バッサリ断るからな…。



俺に女の始末をうまくつけろって言うわりに、自分が一番できてねーじゃん。



反感買うような振り方したんだろーな…きっと。



「そうみたい…上山のせいにすれば、ちょうどいいって。

妹の仕返しに、なんであたしがこんなことって思ったらムカついて。

彼氏にこの話からおりるって言ったら、呼び出せって言われて…」



「陽斗を…?」






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